サピエンス勝利の歴史と危機:あらまし

サピエンス勝利の歴史と危機:あらまし

 著者は大学教授で専門は世界史。信頼性:DNAなどで検証された事実に基づいている。約500ページの著書は、人類の歴史書としては非常に短い!すべてを述べると、短縮して100巻、詳細は1000巻が必要という。ヘブライ語(2011)と英語(2015)で出版された。

 内容は4部構成(認知革命・農業革命・人類の団結・科学革命)。人類生存の危機を幅広い読者に伝えたい著者は、人類史の圧倒的な長さと幅をストーリーとして語る。 

 冒頭の「タイムライン」を見て、読者は人類の歴史の長さに圧倒されてしまう。Big Bangで始まった宇宙153億年前から現在までを軸に、物理学・化学・生物学的存在である人類の壮大な歴史である。地球上に生物体が現れたのは38億年前、ホモ(人間)族の歴史は250万年前にアフリカで始まる。ホモ族が200万年前にアフリカからヨーロッパへ移動した当時は、6種族の存在が確認されている。

 一方、現在まで存続する唯一のホモ族(ホモ・サピエンス)の歴史は20万年前。一介の動物にすぎなかったサピエンスは、認知革命によって団結し、巨大な恐竜や他のホモ族まで滅ぼした。認知革命は遺伝子の突然変異によると考えられる。その後に起こった農業革命と科学革命も偶然の出来事による変化と考えられる。

 農業革命では、無数のエンパイアーが戦争によって次第に淘汰され、少数の大きなエンパイアー(国家)となる。大航海時代に始まった科学革命では、西欧の先進国が世界中に植民地を広げ、国家間の争いが一層激しくなった。第一次世界大戦に続く第二次世界大戦で初めて核が使用された(1945.8)。この大戦が終ってから、「核による平和」を掲げる国際社会が実現した。

 結語:認知革命に始まるサピエンス勝利の歴史は、他のホモ族と地球上の動・植物を滅ぼす自然破壊の歴史でもあった。農業革命から科学革命へ、それは人類の団結によるエンパイアーと戦争が拡大する歴史だった。核の脅威の下に続いた世界平和は、今、ウィルスの蔓延やロシア軍の侵入によって危機に晒されている。

サピエンス勝利の歴史と危機:認知革命 へ続く

 

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