アセナコラム第3回 アメリカンドリームの光と影

アセナコラム第3回 アメリカンドリームの光と影

はしがき

 感染者・死者数が世界で最悪となったアメリカで、6月末の祝日を契機に始まった暴動と建造物の破壊が続く。経済への打撃は失業者数に反映され、失業者に健康保険と家を失う危機が迫る。ネットでは、”The American dream is dead”ということばが飛び交う。

 庶民にとってアメリカンドリームは、芝生のある家の所有だ。日本と違い、不動産としての家はマーケットで売られ価格は上昇する。例えばシアトル市で1962年に建てた2BLKプラス地下室の古い家が、2008年に百万ドル(1億円以上)で売却され、更に上昇している。

イリノイ州で1971年に8年古い2BLKの家を2.5万ドルで買ったので、シアトルでは5万ドルとして20倍の上昇だ。家の売却による利益は、条件を満たすと無税で、所有者は自由に移動して小さい持ち家を買うとか老後の資金に使える。

外国人のアメリカンドリーム

 今年は新コロナの中での独立記念日となった。トランプ大統領は、S.Dakota州の国立公園・Mt. Rushmoreで演説し、“The American dream never die”と強調した。日本人を始め、世界中のスポーツ選手や芸能人は、アメリカンドリームに将来をかける。

 ある国立大学病院の若い医師は、アメリカの研修を10年後に実現し、コロナが流行した今年1月に帰国した。ことばの壁はあっても、自由な雰囲気の中で、専門分野はもちろん、家族にとって実りの多い経験だった。

アメリカンドリームの光と影

 アメリカンドリームは、基本的に「貧乏から金持ちに(from rags to riches)」のアメリカ版である。広大な土地と資源が豊かなアメリカで成功した人は数えきれない。トーマス・ジェファーソンが起草した独立宣言は、「生命・自由・幸福の権利」を掲げた。アメリカンドリームは、心の太陽のように人々に希望を与えてきた。

 影は「自己責任」を基盤とすることだ。不景気の中で職や家を失っても、重い障害や病気になっても、備えがないと立ち上がれない。備えは自己責任で、職場ではグループ保険など、費用に見合う健康保険が用意される。医師の家族は、個人の裁量によって無料診療の伝統が今も守られている。

高齢者・貧困者は、政府が用意する最低限の医療保険はあるが、基本はセルフケアだ。自分で予防できる歯科医療は、基本的に保険がない。救急車は医療でないため、自費で支払う。

おわりに

我が家は揃って健康で、医療にあまり縁がない生活だった。自分の裁量で無料診察してくれる医師に何回か出会った。幼稚園の頃、無料診療してもらった娘が今医師なので、昨年も350ドルの診察料を無料にしていただいた。

日本の医療保険が崩壊する前に、国民は予防医学、中でも歯科医療と救急車の自己責任を考えてほしい。[KK.HISAMA.2020.7]

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