第2回 サピエンス勝利の歴史と危機(その2)認知革命

第2回 サピエンス勝利の歴史と危機(その2)認知革命

学術セミナー・「サピエンス」勝利の歴史と危機(その2):認知革命

はしがき

 ビッグバンから地球の創生、人類の出現を含む153憶年のサピエンスの歴史で、最も重要な認知革命について考察する。著者によると、認知革命は遺伝子の突然変異によると考えられ、その後のサピエンスの歴史も、偶然な出来事が革命のきっかけになっているという。               

人類史のタイムライン

 冒頭の「タイムライン」を見て、読者は過去の歴史の長さに圧倒されてしまう。600万年前にアフリカ大陸でチンパンジーから分かれてから、人類史の大半は同じアフリカだった。250万年前に石器を使用した頃から、人類はアフリカの外地に移動した。当時、少なくとも6つの異なる種族の存在が確認されている。

サピエンス族は、200万年前にアフリカ東部に出現したが、認知革命が起こったのは7万年前だった。農業革命は12000年前、世界文明の発祥を5000年前として、科学革命500年の歴史はあまりに短い。超長いサピエンスの歴史が、超短い科学革命で終わるのか否か。それは本書の命題である。

認知革命の本質は何か

動物・鳥・魚は生きるために、食べ物を求めて陸・空・海や河川を移動する。サピエンスは200万年前に出現したが、130万年前まで他の動物と同じく、食料を求めてアフリカ大陸を移動した。動物に過ぎないサピエンスに、なぜ認知革命が起こったのかは、今も謎である。

認知革命の本質、すなわち、サピエンスが動物や他の人類との違いは、高度な情報を伝える能力だった。情報を共有できると、多くの人間が協力して敵と戦い、食料を得るために移動できる。サピエンスは三種類の情報を伝える能力を得た:ー囲の状況(食べ物・危険など)▲汽團┘鵐梗匆颪両霾鵝壁袖ぁηタ院出産等)、L椶妨えない情報(スピリット・国家・権利等)である。

サピエンスは、情報によって狩猟する集団の数を増加し、未知の人間との協力体制を実現した。チンパンジーでさえ、集団は150匹が限度。一方、高度な情報を共有するサピエンスは、何千、何万、何百万人の団体さえ機能できる。

サピエンスによるエコシステムの破壊

アフリカ大陸を出たサピエンスは、陸続きのユーラシア大陸へ、最北のシベリアからアメリカへ、南は東南アジアへ。東南アジアでは、船で島々を移動してオーストラリア大陸に到達。驚くべきことは、これまで気候の変動で死滅したとされた、恐竜やオーストリアの巨大動物は、全てサピエンスの到来と共に消えているという。

すなわち、巨大動物の絶滅は、気候の変動よりも、団結したサピエンスの狩猟が原因らしい。他のエコシステムの破壊は押して知るべし。サピエンス勝利の歴史は、エコシステムの破壊であり、今日まで続いているのだ。[KK.HISAMA 2020,5]

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