第1回 「サピエンス」勝利の歴史と危機(その1)

第1回 「サピエンス」勝利の歴史と危機(その1)

はしがき

 著者は世界史の大学教授、BigBangで始まった153億年の年月を軸に、物理学・化学・生物学的存在である人類の壮大な歴史をストーリーとして語る。内容は4部構成(認知革命・農業革命・人類団結・科学革命)。各部の扉は、タイトルと写真とキャプションがある。

内容に入る前に3点をクリアしたい:書籍の信頼性長さ言語である。著者は大学で歴史を教えるプロ。信頼性:近年の研究は、DNAなど検証された事実に基づいている。長さ:人類の歴史書として500ページは非常に短い!なぜなら、世界史のすべてを述べると、短縮して100巻、詳細は1000巻も必要という。言語:ヘブライ語(2011)と英語(2015)版は、5G時代に出版されている。

人類生存の危機を目前にして

 ジャンルは、DNA研究に基づく人類史のノンフィクションである。一般の歴史書と異なり、著者は人類生存の危機を、幅広い読者に伝えたい。その目的を達成するための工夫は二つ:一つは人類史の圧倒的な長さと幅であり、もう一つは、読者をとりこにするストーリーである。

 歴史の長さと幅は、全生物を視野に入れて、物理学(物質、エネルギー)に始まり、化学(アトム、モレクル)、生物学(有機体)まで、多岐にわたる。すなわち、BigBangが始まった15.3ビリオン年前(153億年)から現在までの歴史である。地球上に生物体が現れたのは38億年前、ホモ(人間)族の歴史は250万年で、我々の祖先ホモ・サピエンス*の歴史は20万年前からだ。

サピエンス歴史の旅が始まる

サピエンスは、20万年前までは、他の動物や他のホモ族と同様な生き方をしていた。ところが7万年前に起こった、認知革命によって進化して行く。続く農業革命から科学革命まで、サピエンス勝利の歴史は、他のホモ属と動物を滅ぼし、自然破壊をもたらす歴史でもあった。

最も重要な革命は認知革命である。サピエンスは認知革命によって、他の種族を滅ぼし、巨大な動物を制して、地球上の覇者となっていくからだ。農業と科学革命の間に、これまでの世界史の中心だった貿易・帝国・宗教の歴史が語られる。ここで展開された民族と国家の壮烈な争いは、人類の本質に迫る内容であり、現在の科学革命を考える上で重要である。(続く)[KK.HISAMA,2020.4]

*Homo=the human genus, Sapience=wise man(Latin)

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