英語教育:小学校英語の黒い影・前 編

英語教育:小学校英語の黒い影・前 編

小学校英語という教育政策

英語教育について、国民は訳読・文法中心の学校教育を責めます。教員は無策の政府と英語産業を責めます。政府は国民と教育者と英語産業の圧力の中で困惑し、試行錯誤の教育政策を延々と続けるだけ。最新の政策である小学校英語の導入と、更なるALTの増加は、日本語と日本文化を弱体化し国民を不幸にするだけです。

神戸という国際都市で戦前から英語を学び、戦後は同時通訳・国会議員としても活躍した国広正雄氏は、小学校英語の導入についてこう語っています。

 

(引用)この小学校英語導入問題は、昭和一六年に太平洋戦争を前に日本の運命を予言するほどの、判断力が求められます。導入派は大東亜共栄圏よろしく、「これで、日本の英語教育は上手くいく」と無邪気な表情をみせている・・・。[国広正雄:英語の話し方、たちばな出版、2011]

 

国弘氏は続けます。文部省が全国のすべての小学校に外国人を常在させる予算などだせるはずがない、結局は中学校英語の前倒しになる。中学・高校・大学と十年勉強しても出来ないものが、十二・十四・十六年やっても出来ないとなるだけだ。それに応じて英語嫌いになる年齢が下がる。英語嫌いは、今でさえ十人中九人と言われます。

 

小学校英語は憲法改正と同じレベルの社会・経済的問題である

過去三年間、私は『日本人の英語講座:幸せな人生のための学習ガイド』(2018.4出版予定)のための研究と執筆を続けてきました。その過程で、英語教育が学習理論と実践を超える社会・経済的な問題でもあることがわかりました。太平洋戦争の黒い影は、国弘氏の指摘を知る以前に私の脳裏をかすめました。日本語・日本文化の弱体化と消失の危惧は、レミングの死の行進を思わせました。

日本国民にとって、小学校英語は憲法改正と同じレベルの重要な問題と思います。軍事費を思わせるとてつもない教育予算、日本語と日本の文化の弱体化、アイデンティティを失い一介の「アジア人」になってしまう日本人。明治維新の成功の陰には、日本の武士道精神に感動したルーズベルト大統領の存在が大きかったのです。以下、続く [KK.HISAMA:2018.2]

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