トランプのアメリカから:ある大学町のシーン

トランプのアメリカから:ある大学町のシーン

はしがき

 なぜトランプが大統領になったのか。トランプのアメリカとは? 長い間、悶々と考え続けている。本年度の渡米を機会に現地で手がかりを得られるのではないかと考えた。

 

大学町・夏のシーン

 トランプ政権が発足してから8カ月、例年の夏季休暇を西海岸で過ごした。私が長年生活した中西部や東部に比較すると、西部の人たちは服装もカジュアル。男女老若ともパンツ姿で、女性のスカートやドレスは稀。西海岸はIT企業や飛行場のハブ、中国・日本人などアジア人に加えて近年はインド人、アラブ系の人が目立つ。

7〜8月は夏季休暇のため学生の姿が少なく、高齢者やマイノリティが目立つ。若い頃ヒッピーと呼ばれた高齢者たちは、今も長い髪と粗末な衣服でホームレスのように見える。しかし話してみると立派な英語で内容も充実。こちらの英語をよく理解してくれるので話がはずむ。

 街頭で反トランプのバッジを売っている高齢者がいた。少し歩いてから、小物を売っている男性に道を聞いてみた。特急便を空輸する会社だったが、今は宅配が中心。ダンボールの箱をもっていた私を見て、生い茂った木々の陰で見えない支店を教えてくれた。その上、仲間に荷物を運んでやれと言う。なるほど、米国最高の大学町と言われるゆえんかも。

もう一人、バス停で会った女性は長い金髪が乱れ、男物の上着と運動靴。バス停が移動して困っていたら、運転手に話して他のバスに乗ろうと言う。運転手(黒人)は仕事をごまかすなど不満を述べる。そのとき、旧知の黒人男姓が女性に近づいてドルを渡そうとするが断わる。二人の間に会話がはずむので人種偏見はないらしい。街頭でも黒人の男が物乞いするインド人の家族にお金をやっていた。

 月末が近づくと名門校の学生たちが波のように押し寄せた。近くのスーパーの棚は品切れの商品もでて、野菜や果物も翌日まで待つことになる。町通りには残暑を楽しむ若い女性が上半身をあらわにして闊歩。一変した街頭では高齢者の姿が急に少なく見える。 

おわりに

以上に述べたシーンから様々な解釈ができる。中でも重要と思われるのは移民大国アメリカが牽引してきたとグローバル化の進展である。帰りの飛行機で見た最新の映画「The Circle」が描くグローバル社会の光と影。トランプ大統領のヒントはグローバル社会進展の歴史にあるのではないか。次回のトピックにしたい。[KK.HISAMA.2017.9]

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