ナイチンゲール生誕200年記念事業に向けて

ナイチンゲール生誕200年記念事業に向けて

本研究所が企画する記念事業とは、災害看護を中心に、永遠の名著『看護覚え書』が教える看護の原点を、国内と国際レベルの看護活動の源泉とする試みです。なぜなら、近年わが国だけでなく世界各地では、1.千年に一度と言われる強力な地震・津波など頻繁な自然災害、2.工業化がもたらす環境破壊による大規模な水害や異常な高温現象、3.爆弾や核兵器による戦争、交通事故、原発事故などの人為災害、が続出しています。世界で初めて産業革命を実現したイギリスでは、今から200年も前に世界戦争や環境汚染・伝染病によって多くの人命が失われました。ナイチンゲールは、こうした現状を憂い、一人の女性として、人類の健康と幸せのためにあくなき努力を続けました。

貴族の娘として生まれ、男性と同じレベルのすぐれた教育を受けたナイチンゲールは、こうした人命の脅威に一人の女性として立ち向かったのです。抗生物質もない時代、外科手術中心の西洋医学の成功は手術後のケアにかかっていました。武器と弾丸によって傷ついた負傷兵の三分の二は傷からの感染で死亡、環境汚染と人口の集中による伝染病の蔓延で、多くの幼い子どもたちが5歳になる前に亡くなりました。ナイチンゲールが教える看護は、健康増進と病気からの回復のために、雄大な自然を敬い、自然の恵みである新鮮な空気、明るい日差し、きれいな水や食べ物など、自然の法則を取り入れることです。

 イギリスは日本と同じく海に囲まれた自然の美しい島国です。どちらも、色とりどりの草花や巨大な木々が茂る森(日本は山)があります。日本の看護教育は19世紀の末にナイチンゲールの看護に啓蒙されて始まり、20世紀の半ば『看護覚え書』は日本の看護学の礎となった経緯があります。美しい自然と災害の脅威の中で先進国に成長した日本が発展途上国から求められていること。それは高度な産業技術だけではなく、災害がもたらす心身を癒すための看護教育です。高度医療を前面に出すアメリカの看護の道を歩みながら、今もナイチンゲールが教える看護の原点を大切にする日本。90万人の兵士が亡くなったクリミア戦争で、夜間小さなランプを持って瀕死の負傷兵に希望の光を与えたナイチンゲール。その希望の光を燃え続けるための看護が必要とされているのです。

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