日本人の英語講座:第3回 You Tubeのスター・スノーボールと言語学習

日本人の英語講座:第3回 You Tubeのスター・スノーボールと言語学習

はしがき

最近は日本でも普及しているYou Tube。この新しいメディアにより米国でいち早く有名になったのは白いオウム・スノーボール。人間と97%も遺伝子が同じサルが、「なぜ人間の言葉を学べなかったのか」を示唆してくれます。

スノーボールのデヴューまで

 ねこや犬と比較して寿命が格段に長いオウムは、飼い主よりも長生きすることが多いのです。スノーボールが何歳か、どう生きたのかは不明。ただ飼い主が次々に変わり、最後はインディアナ州の家庭で数年過ごしました。ところが可愛がっていた娘が大学へ進学して家を去ると、スノーボールは怒りっぽく・攻撃的になりました。困った家族は保護施設に連れて行って、スノーボールがお気に入りの音楽CDを一緒に渡しました。

 施設の創立者で元生物学者のシュルツ氏が、音楽に合わせて「踊る」スノーボールを見て笑い死するほどの名演。面白半分にYou Tubeに乗せたら大人気となり一週間で20万回、5年で500万回も再生されました。商標登録のグッズからTVの出演など、一躍大スターになったスノーボールは、ありとあらゆる曲に合わせて踊りました。

神経生物学者・パテル博士とスノーボールの出会い

スノーボールのビデオは「ブレーン・イメージング」によって音楽と言語の実証研究していたパテル博士の眼に留まりました。パテル博士は、人間の脳が言語と音楽をほぼ同時に処理することがわかり、最初の論文発表した神経生物学者。博士はスノーボールの画像を詳細に分析した結果、ヒト以外の動物が音楽の拍に同調することを実証できたという論文を発表しました。

その後、同じハーバード大学の研究者シャクナー氏が、言語と音楽の関連を示す新しい研究を開始しました。ミツバツから野鳥や、へび、踊る動物はたくさんいます。しかし、彼らの踊りは必ずしも拍子に合わないのです。シャクナー氏の踊る動物の研究は、You Tubeの動画を科学的に分析。5000本のビデオから脈のありそうな400本を分析しました。調査対象で数が多かったのは、イヌ、オウム、ウマ、ネコ、ゾウ、リス、イルカ、サカナまで数十種。もちろんチンプやオランウータンも含まれていました。

その結果、リズミカルな音に同調したダンスの徴候が見られたのは33件。そのうち29本はオウムで、残る4本はアジアゾウ。一方、チンパンジーなどサルは不合格でした。スノーボールは、DVDやTVの人気者のみか、IT時代の言語研究にも貢献したのです。

結 語

右脳の研究がノーベル賞に輝いてから35年が経過しました。パテル博士は生物心理学の立場から、過去20年以上もプレーンイメジングによる音楽と言語の関連を研究しています。その成果は一冊の書籍として出版(2008)され、米国でESLの教育に応用されています。こうして、人間だけが学べる言語の発達と教育における心理学の貢献は、新たな局面を迎えているのです。[2016.3]

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