海外で経験する言葉の壁を克服するために:男性版 [2016.3]

海外で経験する言葉の壁を克服するために:男性版 [2016.3]

  はしがき

 前回のケースは、アメリカ人の夫と外国人の少ない小都市に住む日本女性でした。男性からこのような投稿は稀です。男性は病気の徴候を知っても、誰にも言わない、診察を受けないことは医療者の間で広く知られていること。本当は、仕事をもつ男性にとって言葉の壁はあつく、精神的負担は女性の何倍も大きいのです。女性は家庭や社会で裏方として生きてきた伝統があり、特に子どもが生れると母性愛はどんな苦労も厭わないしチャレンジするからです。

「外へでたら七人の敵」ということわざがあるように、男性は言葉の壁がなくても社会の前線で働くこと自体が試練です。「言葉を学んで外国の文化を学ぶ」など、男性が直面する苦労を知らない人の考え方。言葉は文化と歴史を内臓しています。国家が征服されるとき、勝者の言葉が敗者の言葉を消失させ、同時に文化と歴史が失われていきます。男性はこのことを本能的に感じるのでしょう。

今では世界中で使用されている英語は、ヨーロッパでいち早く主要言語として確立してから、外敵によって二度も存続の危機に会っています。中でも11世紀に起ったノーマンデーの征服では、フランス人独裁者ウイリアムの支配により、英語は3世紀の長い間地下に埋もれました。世界の歴史は戦争の歴史に見えますが、背後にあるのは宗教・言語という人々のアイデンティティなのです。アイデンティティは人々の生きる意志であり、不屈の精神となって言葉と文化・歴史を守ることができるのです。

男性とアイデンティティ

 私が帰国してから日本で見る一番うれしい光景は、ダークスーツで颯爽と歩くビジネスマンたち。大都市だけでなく、日本中の地方都市でも普通に見られます。彼らは職場で、社会で、確かなアイデンティティをもつ誇り高い日本人です。アメリカではNYなど大都市のビジネス街以外はあまり見ません。政治家・弁護士など、ダークスーツはエリートの象徴であり、確かなアイデンティティを持つ人たち。NYのセントラルステーションで、ダークスーツの白人たちが、楽しく語り合いながらすしを食べていた光景が印象的でした。 

米国に在住する日本人カップルが日本かアメリカかの選択肢があるとき、帰国したいのは男性、女性は残留したい人が多いようです。左脳型の男性と違い、常に左脳と右脳を交流できる女性は外国語の上達が早く、ビジネス界で活躍しています。また、女性は裏方として生きることに意味を見出し、日本社会の複雑な人間関係をさけたいようです。一方、裏方として生きることに満足できない男性は、困難な選択を迫られることになります。

結 語

いずれの選択にせよ、外国で生きがいと幸せな生涯を送るためには、言葉の壁を克服することです。目標は相手に誤解されない、理解してもらえる言語コミュニケーション。天才でないかぎり、0歳から学ぶネィティブの発音は不可能です。すべての言語は、特有なリズムやメロディーによって展開します。スポークンイングリシュを学ぶ鍵は、英語特有な音楽的要素を体で学び、日本語の自動移行(automatic transfer)を意識するアプローチから始めます。お金を要する他者への依存ではなく、本人が主体となる学習意欲にかかっています。[KK.HISAMA.2016.3]

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