シリーズ:日本人の英語講座・予告編

シリーズ:日本人の英語講座・予告編

はじめに

最近は日本でも脳レベルの英語学習が注目されています。その陰には、リスニング・テストに加えて、スピーキング・テストの導入という現状があります。スピーキング力UPにおいては脳の長期記憶がカギであり、脳機能を考える学習は当然の成り行きと言えます。では、スピーキングは誰がどのように教えるのか。学習に必要な膨大な時間を確保できるのか。これまでのテスト・スコアを目標とする学習でよいのか。スピーキング・テストの導入は様々な課題をかかえています。

書店からインターネットまで英語に関する情報の山また山。「聞き流すだけ」で英語が自然と口からでるとか、時間の無駄としか思われない高価な教材の売り込み、自然に覚える母語を話すだけで高度専門職の時給。アメリカではスカイプ会話が一時間225ドル(2015.8の時点)というプログラムもあります。残念ながら、こうした問題点を幅広く考察する英語教育論は稀有です。

2015年度の読書コーナーでは、課題に取り組む書籍の中から代表的なものを取り上げております。最近は学校教育の批判だけでなく、英語産業への批判も少なくありません。従来のような読解と翻訳を超えて、発信型の英語をマスターするために何よりも必要なものは、科学的な学習の方法と、学習者の事情を考える一貫した学習法です。英語学習における情報機器は日進月歩で進化しています。すぐれたカリキュラムに従って機器を利用すれば、時間の無駄をなくし、金銭など必要最低限でよいのです。教師(親・家族を含む)の役割は、的確な学習法の知識と、それを達成するための動機づけ。中心は日本人が大切にしてきた人間の絆です。

子どもが母語を学ぶのは自然な行為です。ことばの流れを記憶するのは生後すぐに始まり、6か月ころから無意識に(何となく)音声言語の語順や言葉のルール(文法)を記憶していきます。意味を伝える言葉の塊(フレーズや文章)のルールを意識して聞く時期は生後一年から、特に15ヶ月から20ヶ月の頃からはルールを応用する力がみられます。この時点からことばの能力は急上昇します。将来は優秀な子にと考えて、この時期に大人が介入した時代がありました。一時的な効果はあっても結局は無駄な試み。あくまで母語でしたが、今では「大人の誤解によるグロテスクな介入」だったと反省されております。母語でもない英語を、乳幼児から教えようとする親たちは、何を考えているのでしょうか。将来の幸せを考えるなら、最新の脳科学・心理学を踏まえた学習法を知ることが前提です。

情報時代という新たな時代を迎えた日本人英語教育は、脳科学・心理学を基礎としながら、アイデンティティなど幅広い社会文化的な考察までを含みます。中学生から社会人まで、学校教育や英語教室で実力がつかない現状では、自分にとって最適の戦略と学習法を知ることが大切です。2016年度のアセナ・セミナーでは、発信する英語教育に必要な科学的知見と、それをベースにする最新の学習法を英語講座として進めて行く予定です。[KK.HISAMA 2015.12] 

©2015 athena international research institute.