英会話の「玉手箱」発見の旅路から

英会話の「玉手箱」発見の旅路から

はしがき

「昔々浦島は・・・」亀の背に乗って竜宮城へ…。やがて故郷へ帰る日、お土産に玉手箱をいただいた。そうっと開けると「みるみる白髪のお爺さん」に・・・二度と帰らぬ時の流れに気づく。一方、英会話の「玉手箱」はあなたの実り多き英語人生を切り開くための鍵が入っている。実は、第二言語として英語教育の研究のため英語サロンを企画・研究を始めてから2年経過した。幸い、今年度はアメリカでの夏季研究中にこの「玉手箱」を発見、日本の英語教育を改革したいという半世紀に渡る私の夢の実現でもある。この玉手箱をいつ、どういう形で開くのかは帰国後の課題とする。問題は、ネィティブのように話せる学習過程における深刻な問題(特に幼児や小学生)をクリアできるかどうかだ。

IT時代の英語教育刷新のために

戦後の教育改革から70年、学童から大学生まで、日本人は浦島さんよりも長い年月英語を学んでいるのに、一向に英会話ができない。それにつけ込む英語産業は日本中で営業。最近は「高価」で「効果」の少ない「英会話教室」は衰え、子ども教室の感がある。一方、学生はネットによるリッスニング教材の売込み攻撃、英語を学ぶ海外旅行は学生だけでなくお年寄もターゲット。ライブで教えるネィティブスピーカーは稀有で、代わりにアジア諸国の「ピジン英語」で御免そうろう。いやはや、誇り高い英語学者は「英会話不要論」をとなえる。この慎重論に賛同する人は少なくないのではと思う。脳科学、心理学の分野で数十年蓄積した研究成果があるのに、誰もわかりやすく説明してくれないので発言できないだけかも。

私は学業と仕事で30年間アメリカの異なる大学のコミュニティーで生活した。言語の発達心理学では、博士論文の一部を出版(『生きた英語を学ぶ知恵』)した。帰国後は猛暑を逃れ、毎年アメリカの大学コミュニティーで避難生活を送っている。今年は西海岸最高学府があるB市に滞在、とにかく涼しい。これまでの夏と違い、私は確かな目標をもってやってきた。それは、オーラルコミュニケーションを基盤とする英語教育を根底から刷新する「教員のトレーニング:理論と方法」である。よき教師に学ぶ人の努力がカギとなるので、意欲さえあれば誰でも学べる。しかし、日本人の英会話力UPのためには、教員のトレーニングと意識改革が急務である。

今年は7月中旬に渡米、睡眠時間を除いて英会話の研究と実践に没頭している。私の日課は、英語教育に関するU-tubeの講義(脳科学・心理学と英語トレーニングの理論・方法など)、加えてESL教師とスピ−チセラピストによる個人指導、5歳のツインの観察と会話である。他に、ベビ−シッター(大学生)、両親(大学教授)、著名な学者たちとの交流、私のまわりは美しい英語スピーカーのオンパレードである。スターバックや散歩も楽しい。皆、気軽に話してくれる。日本語は、レコーダーで聞くラジオ体操だけの毎日だ。

ツインは、読み書きはまだだが完璧な英文を話し、朝から晩までピーチク・パーチク・・・ここに外国語としての英語教育と卒後の英会話習得の秘密が隠されている。オーラルコミュニケーションは、母語であろうと外国語であろうと体で学ぶことから始まる。英会話は幼児や小学生でなくてもよい。学習の時期は個人事情があり一概に言えない。思い込みではなく科学的な検証が必要であろう。ブレーンイメージングなど脳神経学の著しい発達がこうした研究の追い風になっている。

思えば、アメリカで第二言語としての英語教育の研究を始めてから40年、当時の著書は手書きの原稿だった。今では、コンピュータなど視聴覚機器やコミュニケーション技術が空前の進歩を遂げ、新しい英語学習を始める絶好チャンス到来と言える。それなのに、母語と外国語学習の徹底的な違いや教育法も知らない人々(ネィティブスピーカーを含む)が日本中で英会話を教えている。言語の習得は、知性(cognition)と感情(emotion)の両方が必要、つまり言語センターがある左脳と感情の右脳を同時に育てることだ。教師と学習者の安定した人間関係は、言語に必要な豊かな感情の育成に必須なのに注目されていない。

これまでのコミュニカティヴ英語教育の成果は、言語の三原則を満たさないので、英会話などできなくて当たり前。なぜなら、チンプやゴリラの教育方法ではだめで人間にそなわった高度な頭脳をフルに活躍させる教育原理が必要だ。このことは数十年も前にアメリカで行った一連の科学実験で検証されている・・・教育者よ、学習者よ、IT時代の英語教育に目覚めよう。

おわりに

「玉手箱」のサーチは、東京で迎えたクリスマスのあとで「アセナ英語サロン」の構想から始まった。次回のコラムでは、サロンをめぐる過去2年間の苦い体験から私が学んだこと:教育界の壁、英語産業のわな、アメリカで発見したIT時代の英語教育、等々最新の話題を述べる。第一歩として、読者はこの「玉手箱」を開けるまで、英会話のために貴重な時間とお金を浪費しないこと、その代わりにIT時代の生きた英話を学ぶための創意工夫の力を養ってほしい。

KK.HISAMA[2015.8]

 

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