学術セミナーシリーズIII

アセナ学術セミナーシリーズIII

「日本人の宗教観」

 本セミナーのシリーズIIを終えた3月半ばに東日本を襲った大震災は、数万人の犠牲者をだし原子炉破壊による放射性物質によって先の見えない大被害をもたらしている。日本の歴史を調べると同様な地震が何回か襲っているのだ。巨大地震の最初の記録は、日本書紀に見られ四国で起ったという。古来、日本人は天災を変化に富んだ美しい自然の必然的な営みとして、畏敬の気持をもって今日まで生き延びてきた。ところが、今では自然と共に生きるのではなく、自然に立ち向かい克服しようとする西洋的な思想にどっぷりと浸かっている人が少なくない。

 最近、被災者の心の健康についてシリーズで話す精神科医は「・・・災害は自然が悪いのだ(4月29日:NHKラジオ放送)」と言った。西洋医学や心理学を科学として学ぶ医者や心理士による心のケアは極度に限定されている。しかし、宗教を否定する人々は科学者を信じるので、彼らの責任は増すばかりである。こうした時勢のアンチドーテとして、本セミナーIIIでは日本の地勢や災害の歴史のなかで生れ、遺伝子のように継続されている日本人の宗教観を考えてみたい。

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