赤ちゃんは統計学者

赤ちゃんは統計学者

はしがき

 大きな泣き声と共に生れた赤ちゃんは、目を開けるより先に耳からまわりの音を聞きます。眠っているように見えても、雑音から音声を聞き分けるようになります。やがて、ことばの快い響き、すなわち言語特有な音楽(=プロソディ)を記憶します。ことばの音楽は、感情と意味を伝えるので、ことばを学ぶ原理は母語も外国語も同じです。

 

赤ちゃんによることばの学習

 赤ちゃんはどのようにことばを記憶していくのでしょうか。ことばは音楽が基盤となり、話す人たちが理解するためのルール(音声言語の文法)があります。赤ちゃんは音楽とともに、くり返して聞こえる音声からルールも記憶しているのです。

 音声言語の文法は、刺繍の一針のような素音(母音と子音)、素音が構成するシラブル―>単語―>フレーズ―>文章と次第に長く複雑になります。赤ちゃんは頻繁に聞こえる音声の中で、短い母音と子音から順次に記憶して、素音は6カ月までに、音楽(プロソディ)は一年で完了します。

 

赤ちゃんは統計学者

 ことばの音楽にのって、赤ちゃんは最も頻繁に聞こえる母音と子音から順に記憶していく、統計学では「頻度」が重要な概念です。頻度によってことばを学習する赤ちゃんは生まれつきの統計学者なのです!外国語の勉強においても、音声言語の学び方の参考にしてほしいと思います。

 ことばは共同体の約束ごと:ことばは共同体がコミュニケーションのために決めた約束ごと。すなわち、音声や文字など「シンボル」で伝え合うための決めごとです。文字言語においては文法が基本ですが、音声言語の文法は経験から学ぶのが自然です。なぜなら、コミュニケーションにおいて感情が重要だからです。

 ことばの意味と感情を学ぶ:世界に無数のあったことばは、今では6000語ほどと言われます。全ての母語は音声言語から初めて、経験を通して学ぶことが重要です。「ことばが出来る」ことは、シンボルとしてのことばが伝える感情と意味を脳の神経組織に記憶していること。記憶は脳神経を中心に体全体の神経組織と化学物質を変化することです。

 

おわりに

 外国語の習得において、母語の意味とそれに伴う感情を学習していることが大切です。バイリンガルの環境がない国では、母語の基本を音声と文字で習得してから外国語を学ぶべきです。個人差はあるが、一律にするなら中学生からがよいと思います。[KK.HISAMA.2019.6.]

©2022 athena international research institute.