地球にやさしい妊娠・出産・子育てガイド

地球にやさしい妊娠・出産・子育てガイド

Raising Baby Green: The Earth Friendly Guide to Pregnancy, Childbirth and Baby Care. By Alan Greene. John Wiley & Sons, Inc., 2007.

 

はしがき

    食材は「地産地消」、野菜は家庭菜園から等・・・食の安全・安心が求められている。「グリーンベビー・運動」もこうした流れを反映する。キーワードは「グリーン=新鮮・元気」で、食材はもちろん、森を残し、空気や土壌の清潔、野生の動植物を護るなど、よい自然環境を保持することの重要性を意味する。本書では、地球の未来を担うベビーたちの環境を護るために、妊娠・出産・子育てにおける重要な知識と具体的な方法を述べている。

 

子宮内のグリーン

 健康な赤ちゃんを育てる理想郷である子宮環境はすばらしく、学ぶほど自然の威力を感じる。残念ながらこの理想郷まで外界の汚染物質が侵入し、母体を通して胎児に到達しているのだ。眼に見えない有害物質が遺伝子へ及ぼす影響は広く知られるようになった。2004年の調査によると、胎児の臍帯における工業性化学物質は287種類、そのうち180種類は発ガン物質であるとされる。有害物質を減らすために妊娠中にできることを要約する。

 妊婦の飲食物:喘息など小児に多いアレルギー性疾患は、妊娠中の食品の選択や、嗜好品・医薬品を制限することによって減少できる。ソーセージのような加工食品や冷凍食品はできる限り使用しない。

 妊婦の運動:出産に必要な体力を培い安産と速やかな回復に繋がる。妊娠中に起る糖尿病や他の危険な病気を予防できる。糖尿病は、妊娠中8人に1人の割合で起る。

 妊娠中の美容・匂い:毛染めは有害なものが多く、胎児への影響は10倍にもなるので避ける。たばこは妊娠中の発育不全のみか、将来は喫煙者になる可能性が大きいので母親は禁煙し、家族も屋内では自粛する。

 

出産の準備・産室

 東洋各国では出産直後のベビーケアを親や親族の女性に頼っているが、ヨーロッパでは出産と産後のケアをする専門職が発達している。例えば、イギリスの貴族社会ではマンスリー・ナース、今は出産から産後のベビーケアを助けるドウラ (Doula) と呼ばれる女性たちによるヘルプがある。

 「産湯」の習慣があるが、ドクター・グリーンはお湯だけで洗うことを勧める。すなわち、ベビー用の化学物質を含まないシャンプーやソープを最初2−3日はさける。母乳が理想的であるが、人工乳の場合は害の少ないボトルや乳首がある。インターネットで検索し注文できる。

 

子育てガイド

 保育室:フロアや家具は自然の木材、服やおもちゃも自然の素材がよい。赤ちゃんは何でもなめてしまうのでおもちゃや絵本は細心の注意を要する。常に地球にやさしいという視点を忘れないこと。
キッチン:大人と違い6カ月までは井戸水や水道水に含まれる硝酸塩(nitrate)が有害である。流しは新生児の湯舟としても使用されるので清潔を保つ。

 浴 室:赤ちゃんは新陳代謝が激しいので、体の清潔はこまめに行う。皮膚につけるすべての化学物質は、体内で吸収されるので不要なものは使用しない。洗面所に保管する薬品や美容品も地球にやさしいものがよい。赤ちゃんが必要なビタミンDを必ず与える。

 お庭や公園:キーワードは「有機」、野菜やお花を有機栽培して自然な害虫駆除を行えば、蝶や昆虫が多く見られる。記念樹を植えると両方の成長が楽しい。

 その他:屋内の空気、照明、節水、ペット、マイカーなど、地球にやさしい環境を促進するアイデアが満載されている。

[KK.HISAMA, 2011.3]

©2022 athena international research institute.