よく眠り幸せな双子ちゃん

よく眠り幸せな双子ちゃん

Healthy Sleep Habits, Happy Twins: A Step-by-Step Program for Sleep-Training. Marc Weissbluth, M.D. 2009

 

はしがき

 本書は経験豊かな小児科医が、多胎児の睡眠問題に焦点をあてた著書である。高齢出産(30代から)が増加している現在、多胎児の出産が急増している。母体が飲食物や空気など環境汚染に晒される年月が長くなり障害をもつ子が生れやすい。仕事や家庭のストレスが多いと未熟児の出産が増加する。

 

睡眠が脳の発達に及ぼす影響について

 良眠は脳への健康食:脂肪分や糖分の多い食べ物によって肥満・高血圧・糖尿病・心臓病が起るのと同じく、良眠が得られないと脳の発達が阻害され、様々な脳・神経障害が起る。主な症状は、極度の疲労、不機嫌・かんしゃく・怒り、社会的・知的発達障害、パーソナリティ障害、運動障害、高血圧や血糖の異常による病気などである。

 脳の発達に貢献する睡眠:睡眠状態の脳は単なる休養状態にあるのではなく、脳の発達に不可欠な活動をしている。それは知的活動における集中力とか、望ましい気質を養う。睡眠のパターンや、容易な入眠などは、睡眠の習慣は脳の発達によるもので、「にわとりと卵」のような関係だという。

 お昼寝が夜間の睡眠をよくする:赤ちゃんや幼児にとってお昼寝は特別な意味をもつ。よくお昼寝するほど、日中は元気で遊び、夜間はよく眠れる。眠りが眠りを誘う(Sleep begets sleep)のである。睡眠のしつけは早いほど、多重な育児負担が軽減され、両親も良い睡眠が得られる。

 

睡眠のしつけ方

 赤ちゃんの睡眠時間や睡眠のパターンは、次第に変化していくが睡眠のしつけはできる。それも早いほどよい。空腹が満たされ、おむつもかわき、適宜な活動時間が経過してから一人で眠りにつけるかがしつけの重要な部分である。

 眠りのタイミング:赤ちゃんの眠そうな様子に気づくこと。一般に身体の動きが鈍り、眠そうな眼をする。眠くなると気むずかしく泣く子も多い。一定の間はそのままにしておくと眠る場合が少なくない。この際、毎回好きな動物のぬいぐるみをやると効果が大きい。

 お昼寝の習慣:お昼寝の時間や回数は生後の日数とか、成長の個人差がある。双子ちゃんの場合は、授乳と睡眠時間を同じ時間にシンクロナイズする。午前中のお昼寝を同じ時間にすることから始めるとよい。眠りをさそう援助は、軽いゆれ、軽いタッチ、乳首、単純な音やメロディー、お風呂などがある。覚醒時の過度の刺激は神経を疲労させ、激しい泣き方を誘導するので禁物。

 眠りの記録表(スリープ・ロッグ):双子を出産して職業をもつママは、協力者とのコミュニケーションや、双子の睡眠をシンクロナイズするために役立つ。縦に24時間が30分きざみで分割され、横は曜日が並ぶ。一日48ある升目は睡眠・泣く・なだめる・覚醒(ベッド内とベッド外)など、色分けして塗り、睡眠パターンが一目でわかるようになっている。[KK HISAMA. 2010.11]

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