世代共生の知恵:「アメリカン・ビューティー」に学ぶ

世代共生の知恵:「アメリカン・ビューティー」に学ぶ

はじめに

 多文化共生の時代が進む中で、世代共生は多くの日本人にとって郷愁の彼方へ・・・。世代共生を支える経済的な基盤は、共同体として家業であり、地域に根ざした産業だ。経済を超えて世代が共に喜び、共に悲しむ共生は可能か。それは、広大な美しい自然を背景に、現在も繰り広げられるアーミッシュの生活から見えるような気がする。

 

アーミッシュとは

 キリスト教の宗派の人々で、米国とカナダの一部の州に生活している。彼らの祖先は一八世紀に米国にやってきたドイツ系の移民。米国では、アーミシュは電気も車も電話もない昔ながらの生活を続けていることで知られている。トラクターではなく馬を使う農耕と牧畜による自給自足の生活だ。最近、ある機内誌で紹介された写真から、彼らの満ち足りた生活がリアルに感じられた。

 

美しい写真が綴るアーミッシュの生活

薔薇をモチーフにした刺繍が綴る家族の歴史:金色の古い額に入れ壁に飾られている。
馬が引く農耕機を使って畑をたがやす十代の少年 
美しい夜明け、多数の牛が並ぶ牛舎の中、親子が一緒に搾乳 
飾りのない長い衣服をきて帽子をかぶり馬車で移動する女性たち 
子どもたちは学校が終わると家事の手伝いや畑仕事 
教室で熱心に授業を受けるが宿題はない 
みんなが家庭菜園を持ち保存食品を作る 
日曜は教会で礼拝、その後は友達と遊ぶ 
息子の家の離れに生活し孫たちが駈け寄る 
子沢山で家族の時間を大切に、遠い州への旅行もする。

 

おわりに

 古い時代の生活と文化を一筋に守るアーミッシュにとって、多文化共生は別世界のできごとである。彼らが大切にするのは自然とコミュニティとの共生。日本人は変化に富む国土と移り行く四季の中で生活している。自然災害は避けられないが、日本人にとって自然は永遠なる心のふるさとである。アーミッシュから学ぶことは、美しい自然を大切に守りながら、家族と他者への思いやりという精神文化ではないか。[2017.4]

文献:アーミッシュ・カントリーで見た美しいアメリカ [翼の王国2017.3]

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