アメリカンドリームの光と影

アメリカンドリームの光と影

はしがき

 庶民にとってアメリカンドリームは、芝生のある家の所有だ。不動産としての家はマーケットで売られ価格は上昇する。例えばシアトル市で1962年に建てた2BLKプラス地下室の古い家が、2008年に百万ドル(1億円以上)で売却され更に上昇している。

 我が家の最初の持ち家はイリノイ州で、1971年に8年古い2BLKの家を2.万5千ドルで買った。もし、シアトルのマーケットで50万ドルだったとしたら、20倍の上昇だ。家の売却による利益は、条件を満たすと無税なので、所有者は自由に移動して新しい持ち家を買うとか、老後の資金に使える。

 

外国人のアメリカンドリーム

 今年は新コロナの中での独立記念日となった。トランプ大統領は、S.Dakota州の国立公園・Mt. Rushmoreで演説し、“The American dream never die”と強調した。日本人を始め、世界中のスポーツ選手や芸能人は、アメリカンドリームに将来をかける。

 ある国立大学病院の医師は、アメリカの研修を実現し、コロナが流行した直前に帰国した。ことばの壁はあっても、自由な雰囲気の中で、専門分野はもちろん、家族にとって実りの多い経験だったという。

 

アメリカンドリームの光と影

 アメリカンドリームは、基本的に「貧乏から金持ちに(from rags to riches)」のアメリカ版である。広大な土地と資源が豊かなアメリカで成功した人は数えきれない。トーマス・ジェファーソンが起草した独立宣言は、「生命・自由・幸福の権利」を掲げた。アメリカンドリームは、心の太陽のように人々に希望を与えてきた。

 影は「自己責任」を基盤とすることだ。不景気の中で職や家を失っても、重い障害や病気になっても、備えがないと立ち上がれない。備えは自己責任で、職場ではグループ保険など、費用に見合う健康保険が用意される。医師の家族は、個人の裁量によって無料診療の伝統が今も守られている。高齢者・貧困者は、政府が用意する最低限の医療保険はあるが、基本はセルフケアだ。自分で予防できる歯科医療は、基本的に保険がない。救急車は医療でないため、自費で支払う。

 

おわりに

 我が家は揃って健康で、医療にあまり縁がない生活だった。自分の裁量で無料診察してくれる医師に何回か出会った。幼稚園の頃、無料診療してもらった娘が今は医師なので、昨年も350ドルの診察料が無料だった。[KK.HISAMA.2020.7]

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