赤ちゃんは老人が怖い!

赤ちゃんは老人が怖い!

はしがき

 「天使’angel’」のイメージは、背後に二枚の翼をもつ裸の赤ちゃん、まさに天におられる神の使いである。ことばができないが笑顔の赤ちゃんは本当の天使だ。コロナ禍以前は、歩道やお店で赤ちゃんとの笑顔のコミュニケーションが私の最大の喜びだった。

「老人が怖い」赤ちゃん

 空港でもたくさんの赤ちゃんが通り過ぎる。あるとき、空港の事務所で、話しかけると怪訝そうな顔をする赤ちゃんに出会った。不思議に思っていると、ベビーカーを押していた中学生くらいの男の子が言った。

「この子はお年寄りを見ると泣き出すんだよ」

若い核家族がマンションに住むと老人に会うことはあまりない。突然、ぼさぼさの白髪としわ、しみの老人の仏頂面を見て、赤ちゃんはPTSDになったのかもしれない。私は大学院生の家族が一緒に生活するアメリカの経験を思いだした。

日米で異なる核家族と老人の文化

 当時日本では団地が普及し始めたが、車を持つ人は少なく、若い人は四畳半の生活だった。夫の留学のため渡米してみると、子どものある学生家族は、全館暖房つき新築マンションに住んでいた。子どもは新生児から乳幼児で、およそ20家族で40人のエンゼルである。

向かいの高層ビルは、お年寄りの住宅だった。どちらも新築の公営住宅で、真ん中に広い芝生があった。歩き始めた長女と散歩していると、時折、笑顔の老婦人が話しかけた。成長した子どもは核家族となって、遠方に住んでいるのだろう。近くに住む子どもたちは孫のようだった。

日本の昔ばなしと老人たち

 舌切り雀の物語は、いじわる爺さん、善良爺さんがいる。良寛さんや「たけくらべ」のように近所の子を見守ってくれる人もいる。しかし、多くの老人は他人意識が強く相手に不快感を与えてしまう。

 実は外国生活が長い私は、帰国してから街中やお店で出会う「老人が怖い」。平気で相手を傷つける発言をするからだ。日本人にとって、「マスクの着用=話さない」と「ソーシャルデスタンス=他人」は、心理的に自分を守る方法かもしれない。

おわりに

 コロナ禍によって未来は不透明であるが、高齢者人口は確実に増加していく。これからの高齢者は、赤ちゃんに愛されるべく、生きる限り心と体を磨き続けてほしい。[KK.HISAMA,2021.2]

 

©2015 athena international research institute.