小学校英語の黒い影・後 編

小学校英語の黒い影・後 編

はしがき

前編では小学校英語の問題が憲法改正と同じレベルの国家問題であることに言及しました。問題は小学校英語にとどまりません。それは、小学校英語の必須化に便乗する「こども英語」です。

「0歳からの英語」というセールスピッチで全国の商業施設で展開されている子ども英語教室。脳神経学の画像研究から判断するなら、日本の子どもたちに生活言語でない英語を教えることは「百害あって一利なし」。カナダでバイリンガルが実施されている唯一のクベック州における脳神経学の研究を紹介します。

乳幼児における第二言語の発達

以下、E.Shiver博士の科学論文における子どもの第二言語学習論考の一部です。

両親がどちらかのことばのネイティヴなら、子どもに接するときは、自分のネイティヴのことばだけを話す。それは子どもを混乱させないためです。もちろん、どちらのことばにおいても、両親は子どもの発達レベルに調整して話します。

次は、子どもが保育園で第二言語を学ぶ場合です。この頃になると、子どもはコミュニケーションのルール(語順など文法の基本)がわかります。それでも、第二言語がわかるまでは、速くて三カ月から七カ月ほどかかります。二年間ほど勉強すると、母語レベルの第二言語をすらすら話すようになります。ただし、学習は毎日のように続けないといけません。

第二言語を学ぶ過程で、親は積極的に母語を話す必要があります。なぜなら、母語の基礎ができていない子どもは、どちらもマスターしないからです。

結 語

年齢が低いほど、認知能力は未発達であり、ことばの発達は生活環境に依存します。母語を学ぶベビーに見られるように、母語の学習は絶え間ない自己学習とそれを支える環境が必要。外国語も同じです。自己学習できない乳幼児や低学年の児童は、学校と家庭で絶え間ない会話を必要とし、会話しないと忘れてしまいます。日本の子どもたちが、週一回の英語教室でネイティヴのように話すなど、まるで親が「月をとってやる」ようなもの。まして子どもは月がほしいなど言っていないのです![KK.HISAMA.2018.3]

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